“費用対効果”重視のトランプが辺野古に待ったをかける日



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2018年12月26日 09時26分 日刊ゲンダイDIGITAL



沖縄に駐留する米海兵隊のための辺野古新基地建設。「辺野古が唯一」を繰り返す安倍政権は、沖縄の民意を無視し、埋め立て工事を強行している。そんな中、米軍の元高官が、「在沖米海兵隊に戦略的な必要性はなく、存在理由は米国の経済的負担軽減」だったことを証言した。辺野古基地は完成に最低でも13年、2.5兆円かかる。経済合理性を重視する“経営者”のトランプ大統領のこと。「待った」をかける可能性もあるんじゃないか。

 元米国陸軍大佐のローレンス・ウィルカーソン氏(73)が、琉球新報(23日付)のインタビューに登場。ブッシュ(息子)政権で、パウエル国務長官の首席補佐官を務めた人物だ。1990年代初頭、米海兵隊大学校の責任者として、冷戦終結に伴う米国内外の米軍基地再編・閉鎖の調査研究などを分析した。

 当時の分析によると、沖縄の海兵隊について日本政府が多額の駐留経費を支払っているため、「カリフォルニア州での費用より、米側の負担は50~60%安く済んでいた」と指摘。加えて、沖縄の海兵隊員を米本土に戻しても駐留させる場所がなかったため、海兵隊幹部が兵士削減を恐れたという。つまり、沖縄の海兵隊は、米国の財政と軍幹部の都合で駐留しているに過ぎないということだ。

「とても重大な証言です。沖縄海兵隊の戦略的価値を強調して、辺野古基地を進める論拠にしてきた安倍政権の前提が崩れることになります」(元外交官の天木直人氏)

■海上滑走路を「ばかげている」とバッサリ

 さらに、インタビューでウィルカーソン氏はこう続ける。

「(抑止力は)もろ刃の剣だ。抑止力の一方で、米軍の駐留は中国の軍事費を拡大させ、より強力な敵にさせる」

「(朝鮮半島有事の在沖海兵隊の派遣は)戦闘が終わってからしか現地に到着しないだろう。60万人の韓国軍にとって微少な追加でしかなく、戦略的理由はない」

 戦略的必要性がない以上、辺野古基地は米国の財政上もむしろ重荷だ。ウィルカーソン氏も、多額の費用のかかる海上滑走路を「ばかげている」とバッサリだった。

「トランプ大統領は“費用対効果”で判断する人です。シリア派遣も、割に合わないから撤退を決めました。辺野古基地が戦略上意味がなく、コストばかりがかかる代物だと分かれば、これまでの経緯を無視して『辺野古やめた』と言い出す可能性は十分あります」(天木直人氏)

 米政府に辺野古工事の停止を求める署名は16万筆を超えた。聞く耳を持たない安倍首相よりもトランプ大統領の方が脈がありそうだ。


◆青木義明【競馬一直線】
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