勝島王冠◆沢田準の競馬を楽しく

12月5日に大井で行われた勝島王冠。今年から南関東のS2に昇格し1着賞金が1300万円から2200万に上がったこのレース、ヒガシウィルウィンやリッカルドという歴戦の古馬が出走しこの両頭が人気となった。

しかし勝ったのは3番人気の3歳馬モジアナフレイバーだった。スタートでやや出遅れ後方からのレースだったが、徐々に上昇し挑戦は外から一気に差し切った。

2着のヒガシウィルウィンに3馬身という快勝である。ハナ差の3着のリコーワルサーも3歳だ。

ジャパンカップを3歳のアーモンドアイ、チャンピオンズカップをこれも3歳のルヴァンスレーヴがそれぞれ強く勝ち中央では3歳馬が圧倒しているが南関東でもと思わせたのである。

ところでこのレース、3歳のこの両頭は53キロと軽量だった。3歳馬ではもう1頭のクリスタルシルバーも出走していたがこちらは56キロと負担重量に差があったのである。

この3頭は羽田盃ではリコーワルサーが2着と最先着でモジアナフレイバーが4着、クリスタルシルバーは7着だった。

一方東京ダービーは逆にクリスタルシルバーが最先着の2着、モジアナフレイバーは再度4着でリコーワルサーは5着だった。

この結果を考えるとこの3頭は互角と考えられるがクリスタルシルバーが3キロ重いのは不利と思われたのか、モジアナフレイバーが3番人気とクリスタルシルバーを上回った。

リコーワルサーは離れた5番人気だったがこれは前走のスターバーストでモジアナフレイバーに1馬身半敗れたためだろうか。

ところで帰りのバスの中で他のファンが、クリスタルシルバーはなぜ56キロなのかと話していた。

たしかに一般のファンにはこの負担重量の差は理解できないだろう。実はこのレースの重量は以下のとおりである。

A1クラスは57キロ、A2は55キロ、B1以下54キロ、牝馬2キロ減、3歳2キロ減。過去1年間にJRA重賞2キロ増、南関東S1、S2重賞1着馬は1キロ増。

そしてクリスタルシルバーはA1で前走でS2のマイルグランプリを勝っている。これでA1の57キロが基準で3歳の2キロ減、S1S2の1着で1キロ増で56キロというわけである。

一方あとの3歳馬の2頭のクラスはA2だ。A2の基準重量の55キロに3歳の2キロ減で53キロというわけである。

しかしこの別定重量はファンには伝わらない。主催者からレースの情報を提供する場としては出馬表がある。しかし大井の出馬表にはこの別定重量の説明はない。

勝島王冠ではモジアナフレイバーとリコーワルサーがA2で他馬はA1だが出馬表にはA1、A2といった格付けの記載もないのである。これは大井だけではなく地方競馬共通だ。

一方中央競馬の出馬表には別定重量の内容が記載されている。出馬表に記載することが全てではないが、地方でも別定重量の決め方をファンに伝える必要があるのではないか。




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