ジャパンカップの外国馬◆沢田準の競馬を楽しく

今年のジャパンカップはなんとも驚きのレースとなったことは誰もが等しく認めることだ。いくら3歳牝馬3冠とはいえ1番人気、それも単勝オッズがなんと1.4倍というのもびっくりである。

レイデオロの回避、マカヒキの断念と古馬のトップ牡馬がベストメンバーではなかったとはいえG1勝馬は揃っている。

多少は人気投票的な要素があったとはいえここまでの人気になるのだろうか。たしかにジェンティルドンナの前例はあるとしてもだ。ジェンティルドンナは3番人気で6.6倍だったことを考えてもアーモンドアイは大変な人気の集中というわけだ。

そしてその勝ち方。いうまでもなく勝ちタイムだ。2分20秒6。同じくジャパンカップでアルカセットが出したレコードをなんと1秒5も縮めたものだった。

ジャパンカップはレコードが出るレースである。1981年の第1回ジャパンカップではメアジードーツがいきなり2分25秒3を記録して日本の関係者やファンを驚かせた。

それまではグリーングラスがアメリカジョッキクラブカップで記録した2分26秒3を1秒短縮したのだった。グリーングラスのレコードにしても当時は大記録だったのであり、それを1秒詰めたものでありさすが外国馬は早いと思わせたのだった。

その後も1986年にジュピターアイランドが2分25秒0、1987年にはルグロリューが2分24秒9とレコードを更新する。

そして1989年にあの大レコードが誕生する。ホーリックスの2分22秒2。私はこの時、競馬仲間とともにスタンドにいたが、思わず「見ろ、あの時計を」と叫んでしまった。

以前は東京で2300メートルのレースが行われていたが、このタイムはその距離のもののように思われたのである。そして2着のオグリキャップも同タイムを記録している。今さらながらオグリキャップは強かったのだなと思うのだ。

このレコードは永遠のものと信じられた。それだけに2005年にアルカセットが0秒1だけ更新したときには余計なことをしてくれたものだという思いだった。

しかし今年の大レコードは過去のレコードの価値を全く失わせてしまったのである。

さて今年のジャパンカップの外国馬は2頭。イギリスのサンダリングブルーはG2とG3を各1勝したのみ。前々走ではストックホルム国際G3を勝っている。

しかしデンマーク、スウェーデン、ノルウェーで行われるグループレースはヨーロッパの中でもいかにも格下で強豪が出走するレースではない。

前走はカナディアン国際で2着だが、このレースはG1とはいえ主要レースではない。ヨーロッパではG1を勝てない馬がタイトルを求めて出走するレースである。

このようにサンダリングブルーはヨーロッパを代表する馬とはいえず、ジャパンカップでは苦戦必至と思えた。

近年のジャッパンカプップ、外国馬は馬券に絡むことは無くても惨敗続きというわけではない。2017年にはアイダホが5着、16年はイキートスが7着、15年はイラプトが6着、14年はアイヴァンホウが6着と「おや」という成績を上げている。

アイダホはアイルランドのエイダン・オブライエン調教師だ。ジャパンカップに手が届くかもしれないという手ごたえを掴んだのかもしれない。

そこで今年はカプリを送り込んできた。3歳時にはG1の愛ダービーと英セントレジャーを勝った一流馬だ。今年はやや不振も凱旋門賞では5着と好走している。

エイダン・オブライエン調教師はカプリなら何とかなると考えたのではないか。しかし両馬とも後方に敗れた。しかも道営のハッピーグリンにもかなわなかったのである。

このような結果ではもうジャパンカップに外国馬がやってくることはなくなるかもしれない。さらにチャンピオンズカップではアメリカのパヴェルは最下位である。こちらにもアメリカ馬の参戦はもうなくなるだろう。



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