双眼鏡◆沢田準の競馬を楽しく

グリーンチャンネルで須田鷹雄氏を中心に井上オークスさんや田中歩さんによる外国の競馬場訪問番組が放映されている。先日はパリの障害専用競馬場のオートイユだった。

番組では大水濠と生垣とバンケットが紹介されていたが、オートイユには他にも水濠がありまた大きな空濠もある。他にも変わった障害があって生垣の高さ程度の石垣の障害なのだ。

上部にはゴムシートでカバーされているとはいえ馬が脚を引っ掛ければ落馬である。日本の生垣は飛越が低くても割って飛ぶことができるから難度は低い。この石垣とは大違いだ。

また生垣に挟まれたバンケットとか二つの生垣が向かい合っている変わった形の障害がある。日本の障害は生垣、竹柵と水濠だけでありイギリスは生垣、水濠、空濠だけである。

フランスだけではなくヨーロッパ大陸各国の障害はイギリスとは違っていろいろな変わった形の障害があるのだ。

放送でも紹介されていたがスティープルチェイス以外にハードルレースもある。イギリスのハードルは馬が蹴とばせば倒れるタイプだがフランスのハードルは生垣で、むしろ生垣障害というべきものだ。

なお最大の見ものであるスタンド前の大水濠は放送では2メートルと言っていたが実際にはもっと大きく、水濠の幅は425センチで飛越幅は550センチもある。

コースは周回コースと二つの襷コースがあり片方の襷コースにはチェイスだけではなくハードルもある。周回コースと襷を使っていろいろな距離のレースがあるからどこをどう走ってくるのか馬が走ってみないとわからないのである。

ところで放送の中でおもしろかったのが、オートイユにはビジョンがないため馬がどこにいるのかがわかりにくいという発言だ。

一周2400メートルだから確かに肉眼では見づらいというより、馬群がゴール前まで来なければ馬の位置もわからないのは当然だ。

今回は須田氏と田中さんだったがなんと二人とも双眼鏡を持っていないのである。ビジョンができる前は競馬観戦には双眼鏡は必須だった。

ビジョンがなく場内でのテレビ実況もまだない時代、場内放送を聞きながら双眼鏡でレースを追う、これがファンの当たり前の姿だったのである。

競馬場の中で有料の貸し出し双眼鏡まであった。

しかし今や中央ばかりではなく地方競馬の各場でも大なり小なりのビジョンが設置され、ファンはビジョンや場内のテレビでレースを見るのが当たり前だ。

スタンドの構造も変わり新しいスタンドでは双眼鏡でレースを追うことができなくなった。

例えば全面ガラス張りのスタンドではそのガラスそのものが双眼鏡での観戦の邪魔になる。バックストレートではビジョンが馬の姿を隠してしまう。

もはや競馬場では双眼鏡を持っているファンは本の少数だ。

しかし外国の競馬場では日本のような大きなビジョンが設置されているわけではない。双眼鏡は必要なのである。




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