沖縄敗北が3選後の安倍政権を痛撃する理由



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2018年10月01日 12時30分 東洋経済オンライン



強い大型台風が列島を縦断した9月30日に投開票となった沖縄県知事選は、野党が支援する「オール沖縄」で戦った玉城デニー氏(自由党幹事長)が、与党支持の対立候補に大差をつけて圧勝した。「沖縄決戦」は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を最大の争点として与野党全面対決の構図となった。与党敗北は、9月20日の自民党総裁選で大差の3選を果たしたばかりの安倍晋三政権を直撃する"沖縄ショック"となった。

選挙結果を受けて、立憲民主党など主要野党は来夏の参院選での野党統一候補擁立の動きを加速させる構えで、自民党内では「参院選苦戦」の不安も広がる。首相は2日に断行する自民党役員・内閣改造人事で態勢を立て直し、1強政権を維持して10月下旬召集の臨時国会に臨む構え。だが、悲願の憲法改正も含め3選後の政権運営での求心力低下は避けられそうもない。

翁長雄志(おなが・たけし)知事の死去に伴う沖縄県知事選は30日の投開票の結果、翁長氏の後継で辺野古移設阻止を掲げた前衆院議員の玉城氏(58)が、移設を進める安倍政権の全面支援を受けた前宜野湾市長の佐喜真(さきま)淳氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=ら3人を破り、初当選した。

■ハイタッチの玉城氏、佐喜真氏は姿消す

玉城氏の得票は、39万6632票で、佐喜真氏に8万票超の大差をつけた。


1998年の稲嶺恵一氏による同知事選での最多得票記録(37万4833票)も上回る圧勝だ。ただ、選挙戦最終日の大型台風直撃の影響もあって、投票率は63.24%と前回をわずかに下回る一方、期日前投票は有権者数の約35%に当たる約40万7000人と前回の2倍以上に増大した。

安倍政権が進めてきた普天間飛行場の辺野古移設に、多くの県民から改めて反対の意思が示されたことで、政府の移設計画が滞る事態は避けられそうもない。また政治的には、政府与党が総力を挙げた県政奪還の戦いでの完敗が、総裁3選で新たに3年の任期を獲得したばかりの首相の出鼻をくじき、2日に行われる党・内閣人事の結果次第では、同党内に"反安倍ムード"が広がる可能性もある。

知事選の開票作業は午後8時過ぎから始まったが、大接戦の予想を覆して出口調査などで玉城氏の優勢が確認されたことから、午後9時半前後にはNHKなど各メディアが玉城氏の当選確実を速報した。玉城、佐喜真両氏陣営は那覇市内のそれぞれの事務所で開票作業を見守ったが、野党国会議員や「オール沖縄」の支援者が集まった玉城氏事務所では、NHK速報で拍手と歓声が渦巻き、玉城氏は涙を浮かべて万歳とハイタッチで勝利を祝った。

玉城氏は記者団に対し、「翁長さんの築いた礎を継承し、官邸に融和を訴える」と辺野古移設中止を政府に働きかける決意を語った。一方、佐喜真事務所はお通夜のように静まりかえり、佐喜真氏は憮然とした表情で「力不足だった」と支援者に頭を下げて、そそくさと姿を消した。




◆青木義明【競馬一直線】
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