人気騎手への集中◆沢田準の競馬を楽しく

今年の中央競馬での騎手成績は極端なものになっている。3週前にクリストフ・ルメール騎手とミルコ・デムーロ騎手がいずれも100勝を超えた。

先週の時点ではルメール騎手が119勝、デムーロ騎手が105勝。続く日本人騎手は戸崎圭太騎手が74勝、福永祐一騎手が68勝と引き離されている。

昨年はルメール騎手が199勝でリーディングなったが、デムーロ騎手と戸崎騎手は171勝でタイだった。

なぜ今年はルメール騎手とデムーロ騎手の成績が特に伸びているのだろうか。それは両騎手の腕がいいことは確かだ。しかしそれだけではない。

この直近の4週間、ルメール騎手は24勝、デムーロ騎手はやや少ないがそれでも10勝している。そして注目したいのは人気だ。

この期間、ルメール騎手が騎乗した馬のうち1番人気が実に37頭、2番人気は15頭だ。それだけ人気馬に乗っているのなら24勝ではむしろ少ないといってもおかしくない。

デムーロ騎手にしても1番人気は24頭、2番人気は14頭である。

これは両騎手が騎乗したことでファンが馬券を買うということもあるが、それよりそれだけ人気になる馬に両騎手を騎乗させているということだろう。

新聞を見てもどのレースでも両騎手が騎乗する馬は成績のいい馬ばかりだ。こんな馬ばかりではそれは勝つだろうと思われるのである。

もちろん乗り替わりは多い。両騎手に騎乗してもらいたいという馬は複数いるだろうから、その中で強そうな馬を選ぶのだから人気になるはずだ。

そのなかでそれは無いだろうと思わされたのが、8月11日の札幌のメイン、STV賞(1000万下)に出走した道営の3歳馬ハッピーグリンだ。

2歳時から中央の芝に挑戦しコスモス賞とすずらん賞でいずれも3着、春にはセントポーリア賞を勝ちクラシックを目指したがその願いはかなわなかった。

そして前走、巴賞で3着と好走。STV賞はチャンスと思われた。道営での主戦は服部茂史騎手で巴賞でも服部騎手が騎乗している。

ところがSTV賞はではルメール騎手に乗り替わりとなってしまった。服部騎手が来ていないのかと思ったがなんとコスモス賞のるために札幌にいたのである。

それは無いだろうと思ったのは当然である。札幌にいながら自分のお手馬に中央の騎手が乗っているのを目の前にした服部騎手の思いはどうだろうか。

服部に乗せてやれよと思わざるを得なかったのだった。

そして今度は短期免許のジョアン・モレイラ騎手である。3週間で22勝。1番人気が29頭、2番人気が18頭。

いくら上手な騎手でもそこまで乗せるのか。それでは日本人の騎手が育たないではないかといいたくなるのである。





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