格付けの妙・後編◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】

JRAでは再来年の夏から4歳夏の降級制度がなくなるが、地方競馬では主催者ごとに特色あるクラス編成で出走頭数の確保と売上アップに工夫を凝らしている。

JRAも南関東も過去の収得賞金を「全て」カウントして、クラスや格付けを決めている。となるとクラスが下がるのも基本は1段階ずつになり、JRAで2歳時に新馬→重賞を連勝した馬が4歳夏に2段階降級するのは「珍しい例」と映る。しかし地方競馬の主催者には「収得賞金をカットする」ことで格付けを行う場合があり、これがあると2段階降級とは比べものにならないほどドラスティックな降級が起こる。

例えば、「過去〇年の賞金をカウントして、それ以前はカット」という方法。JRAでオープンを走っていた馬がケガで長期離脱していたりすると、初戦をその地のオープンで走った後にいきなり最下級条件に出走したりする場合が出て来る。「過去〇戦の賞金をカウントして、それ以前はカット」という場合も同じで、何れにせよJRAファンから見るとカオス。馬柱を見ながら、「地方競馬ってわかりにくいですね。」となってしまう。

地方競馬ではオープン馬でも月2回または2ヶ月に3回くらいの高い稼働率なので、「過去〇戦の賞金をカウントして、それ以前はカット」方式でもすぐに降級の恩恵にあずかれる。脚元に不安があって使い込めない場合は、「過去〇年の賞金をカウントして、それ以前はカット」という地区に転入すればレース間隔を空けながらでも降級を待つことができる。馬資源を有効に活用して、出走頭数を確保しながら多くのレースを組むのに必要不可欠なのが降級制度なのである。

賞金を基準に格付けするのは、カットの有無に関わらず「過去」を評価するシステム。その馬の「現在」を評価して格付けするなら、レイティングを活用するのが最も公平な方法だろう。コンピュータを使えば、新馬以外の馬には全てレイティングをつけられるはず。それでクラス編成をすれば、より力量接近の好カードが組める。それがレースの魅力と売上をアップさせるのに資すると思うがどうだろうか。

◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
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