シリーズレース◆沢田準の競馬を楽しく

やや旧聞になるが、地方競馬全国協会から新しいシリーズとして「3歳秋のチャンピオンシップ」が発表された。

11月19日に水沢で行われるダービーグランプリと対象としたもので、指定された各地のレースとダービーグランプリを勝った馬の馬主に対してボーナスを出すというものである。

指定されたレースは三つのカテゴリーに分かれており、Aは黒潮盃(大井)でボーナスは800万、Bは戸塚記念(川崎)、秋の鞍(名古屋)、不来方賞(盛岡)、西日本ダービー(佐賀)でボーナスは500万。

そしてカテゴリーCはサラブレッド大賞典(金沢)、ロータスクラウン賞(佐賀)、岐阜金賞(笠松)、黒潮菊花賞(高知)でボーナスは300万となっている。

これらのステップレースはもちろん3歳馬のレースだ。なお西日本ダービーは昨年に第1回が園田で行われたレースであり、西日本の各競馬場の回り持ちで行われるレースで、今年は佐賀が舞台となる。

この新シリーズはダービーグランプリに各地方の強豪を集めレースに人気を呼んで全国で馬券を売ろうというものだ。ジャパンダートダービーの地方馬版といえるだろうか。

ダービーグランプリは1986年に水沢で地方交流レースとして創設された。1着賞金は2000万で、1990年に3000万、1992年には5000万と上昇し当時の岩手県競馬の勢いが分かろうというものである。

1996年には完成した新盛岡競馬場に移り、中央交流レースとなってイシノサンデーが優勝した。1着賞金は6000万。

そして1997年からはダートグレードG1と地方を代表する主要レースとなったのである。

ところがその後岩手県競馬は不況となり、2007年にダートグレードの格を手放す羽目になってしまった。1着賞金も600万と急降下、さらに翌年には廃止されてしまったのである。

しかし2010年に水沢で800万のレースとして復活。地方交流レースとして主要レースの位置は保っていたのである。

今年のシリーズ化でダービーグランプリの人気を取り戻すことができるだろうか。

ところで競馬ではシリーズ化して有力馬を集めレースの人気を集めようという企画がある。しかしこのようなシリーズ化がうまく機能しているかは疑問である。

高松宮記念とスプリンターズステークスがグローバルスプリントチャレンジに入っていることなど知らないファンのほうが多いのではないか。

世界各国のレースをシリーズ化しようというのは初めから困難と思われる。

JRAのサマースプリント、サマーマイル、サマー2000の各シリーズにしても初めからそれを目標にしているようには思えない。

一つ勝ったからもう一つ狙ってみようというのが精々の所ではないだろうか。

サマーマイルのために中京記念が2000から1600になってしまったのはどうかと思う。

地方競馬のグランダムジャパンはある程度うまくいっているようだが、これは賞金の低い地方の馬が狙ってくるためだろう。


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