過去にも類似ケース 加計獣医学部新設「不認可」に現実味



http://news.nifty.com



2017年08月06日 09時26分 日刊ゲンダイDIGITAL



「認可」を勝ち取るのは至難のワザかもしれない――。文科省の大学設置・学校法人審議会が8月末に結論を出すとされる加計学園の獣医学部新設の認可問題。加計学園は“新しい獣医学部”を前面に打ち出しているが、実は過去に、「他大学にはない新分野」を掲げて学部新設を申請し、「不認可」になったケースがあるのだ。

 2013年度の開設を目指していた「統合医療大学院大学」は、12年6月、大学設置審から「不認可」を突き付けられた。NGの理由は、大学側が示した他大学にはない「統合医療学」の定義が不明確で、体系的に学生に教授したり、修士号を授与することができないからだという。加えて、カリキュラムも<単なる伝統医療、補完代替医療の解説にとどまっている授業科目が多く見受けられる>とダメ出しされている。

 一方の加計学園。今年1月10日に提出した国家戦略特区構成員応募申請で、こう猛アピールしている。

<これまでの大学と異なる新しい(第三極)獣医学教育拠点を目指します>

<他大学にはない新規の企画です>

 従来の獣医学部では特区の対象にならないから、こう書くのは当然なのだが、大阪産業大客員教授の八幡義雄氏(教育学)はこう言う。

「他大学にない新規分野で、体系的な教育課程を編成するのはとても難しい。先生だって、教えたことがないことを教えるわけだし、そもそも学問として成り立つのか。かといって、従前と変わらない獣医学部では何のための新設かということになります」

 特区申請ではウリだった“新規性”が、逆に設置審の審査では“ネック”になってしまうというのだ。

 加計学園は学生募集パンフレットに<合格後、ワンランク上の大学にチャレンジ可能>と、自らを“下”だと認めている。それでいて、他大学にない“優位性”をはたして設置審に示せるのか。

 設置審への申請内容は今は非開示。「新規性を強調した特区の申請とは内容を変えている可能性がある」(文科省関係者)という。どんな申請がなされ、どういう議論が行われたのか。文科省の大学設置室によると、審議会のメンバー、議事内容などは来年3月に公開される。もし「不認可」なら8月末の答申と同時に理由が示される。