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今年のジャパンカップ、外国馬の出走は結局3頭になった。フランスのイラプトとドイツのナイトフラワーは昨年も参戦しており、新規の来日馬はドイツのイキートスのみである。

イキートスはバーデン大賞を、ナイトフラワーはオイロパ賞を、イラプトはカナディアン国際とそれぞれ最近にG1を勝っており、その意味では一流馬であることは間違いがない。

しかしこの三つのレースはG1といってもキングジョージや凱旋門賞のようなスーパーなG1ではなく、その意味ではこの三頭が世界的超一流馬ではないことも確かだ。

凱旋門賞で間違いなく日本のトップ馬であるマカヒキが大敗したことで、日本のトップがこの程度なら日本に行こうという関係者がいたとも伝えられた。

実際に凱旋門賞で好走した馬の次戦はジャパンカップとうわさされた馬もいたようだが、結局はそのようなトップクラスの馬は日本には来なかったのである。

かつては多くの外国馬が招待に応じて来日したジャパンカップだが、近年は外国馬の参戦はすっかり少なくなってしまった。

このような状況を心配し、かつてのように多くの外国馬が来るようになるにはどのような対策が必要かを検討する向きがあるようだ。

芝が外国馬にとっては硬すぎる、あるいはホスピタリティが悪いのではないか、またもっと賞金を上げるべきではないか、などである。

しかし日本の馬場が近年急に硬くなったわけではない。日本の芝が硬いということは第1回のジャパンカップですでに外国の調教師から指摘されている。

だがそれにもかかわらず以前は多くの外国馬がジャパンカップに参戦していたのである。

また外国馬の関係者に対するホスピタリティにしても以前より良くはなっていても悪くはなっていないと思われ、これも原因ではなさそうだ。

外国馬がジャパンカップにやってこない真の理由は、おそらく日本の馬が強くなってしまったために外国馬が勝てなくなったためだろう。

かつては外国馬が勝ったり日本馬が勝ったりしていたジャパンカップだが、近年は日本馬が連勝どころか上位を独占するようになってしまった。

勝てないのでは遠い日本へ外国から馬が遠征してくるはずもないのである。賞金を高くしたところで、勝てない着も拾えないのでは意味もない。

香港から日本の短距離G1にやってくるのは勝つチャンスがあるからなのだ。

ジャパンカップは日本馬がローレルのワシントンDCインターナショナルなどで敗退を続けていたために、日本の馬を強くする目的で作られたものである。

今や日本馬ははるかに強くなりジャパンカップはその目的を達したのである。

さてそうなると今度はジャパンカップの存在が逆に弊害となってきたことがある。

ジャパンカップ創設前はダービー、春秋の天皇賞、有馬記念は賞金が同額だった。ジャパンカップも当初は同額だったが、本賞金以外に特別出走奨励金という名目の別枠で賞金を出し合わせて世界最高の賞金としていた。

その後JRAの賞金は徐々に高くなっていき1999年には宝塚記念も合わせて1着賞金は1億3200万円だったが、この年まではジャパンカップも名目上は同額でしかし特別出走奨励金は継続していた。

しかしこの形はやはり無理があるということからか、2000年に本賞金に組み込まれジャパンカップの1着賞金はいきなり2億5000万円にアップしたのである。

そしてこの年にジャパンカップとのバランスをとるためか有馬記念も1億8000万円に増額された。ここにきてダービー、天皇賞、有馬記念、宝塚記念の賞金は同額という歴史が崩れたのだった。

ダービーだけは有馬記念と差がありすぎるということからか2001年には1億5000万円に、その後2013年に2億円と上がったが。

しかし有馬記念は2011年に2億円、2015年には2億5000万円、今年はついにジャパンカップと並んで3億円になってしまった。

天皇賞は今年は1億5000万円だから有馬記念の半分でしかない。天皇賞が有馬記念とこれだけのレースの格に差があるかといえばそんなことはないだろう。

これは結局のところ高賞金で外国馬を呼ぼうとした過去のジャパンカップの弊害が、今になって表れたといえるのではないか。



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