2016年6月23日、門別。◆斎藤修【馬と旅と酒の日々】


羽田から飛び立ったJAL便は、眼下に果てしなく切れ目のない分厚い雲海が広がり、下界が見えたと思ったらそこはすでに北海道。で、間もなく新千歳空港。

門別競馬場には、前回書いたとおり急性肺炎明けの5月31日に来たばかり。次に来るのは夏以降かと思っていたのだが、しかし。共有させていただいているリシュリューという2歳馬がフレッシュチャレンジを圧勝し、ウイナーズチャレンジに出るというのだから見に来ないわけにいかない。

結果は、3着。競馬は、そう簡単にはいかない。特に2歳戦ともなると、「勝てる」と思って出走させる馬ばかりの中で、実際に勝つ馬は1頭。という至極当たり前のことはわかっているのだが。

それにしてもホッカイドウ競馬の2歳戦はおもしろい。馬券を買って見ているだけでもおもしろいのだが、馬を持ってみると(といっても共有だが)、あらためてそのおもしろさがわかる。

JRA認定競走はそれなりに賞金も高いし、それを運よく勝つことができれば、どこの競馬に挑戦しようかという夢が広がる。たとえ勝てなくても、馬のレベルや適性をみきわめて、それなりに勝負になりそうな地方競馬に移籍という選択肢がある。

門別競馬場には、出走馬の牧場から関係者が大勢で見にきていたりして、新馬戦などの口取りでは、ぞろぞろと10人、20人が並ぶという光景も、見ていて楽しい。

かつて地方競馬は、競馬場ごと地区ごとに独立して行われていたが、交流が進む過程で馬産地・ホッカイドウ競馬は2歳戦を充実させた。それにしても今のこのしくみをよくつくったものと思う。2歳戦で盛り上がらなければ、今の再起はなかったのではないか。

最終レースには1000mの重賞、グランシャリオ門別スプリントが組まれていた。勝ったのは、中央1000万条件から転入初戦のケイアイユニコーン。ダートは一度しか使われたことがなかった馬だ。競馬は難しい。しかし移籍を決断した馬主さんにしてみれば、してやったりという思いだろう。

負けたショックをひきずったまま、宿をとっていた千歳へ。今回は予約がわりと直前だったので、千歳駅近辺のホテルに空きがなく、駅からかなり離れたところにポツンとあるグランテラス千歳。なるほど、たしかここはかつてJALグループのホテルではなかったか。

向かいにコンビニが1軒と、ファミレス的な焼肉屋があるのみ。ひとり外飲みなどできようはずもない。

近頃では徒歩5分圏内にコンビニがないとホテルは経営が成り立たないそうで、このコンビニも、おそらくこのホテルのためだけにあるのだろう。

選択の余地なくコンビニ酒という敗北感。エビス・マイスター匠の逸品350ml。増毛町の国稀300ml。アテは、チーかまに柿の種。


◆斎藤修【馬と旅と酒の日々】
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