斎藤修さん、ありがとうございます。☆2016年2月14日、帯広。◆斎藤修【馬と旅と酒の日々】


日本列島大荒れの日曜日、帯広へ。

予報では、東京あたりの最高気温は25度にもなり、帯広は摂氏1度とか。昨日から「条件付き運航のお知らせ」のメールがJALから送られてきていて、ようは離陸できても千歳に向かうか羽田に引き返す可能性があると。

羽田空港に着くと出発予定がすでに15分遅れ。さらに搭乗してからも滑走路の手前で待たされ、しかしとかち帯広空港には無事に着陸。30分ほど遅れはしたが。

気温0度前後の帯広は、雪ではなく、まさかの雨なのか霙なのか。雨は今年帯広では初めてだそうだ。

ばんえい十勝のメインは、明け3歳牝馬による黒ユリ賞だが、そのひとつ前のレースに注目馬が出走していた。1年近くの休養を挟んで11連勝中のスマイルダンス。この日も、第2障害を越えてからほとんど追われることのないまま他馬を寄せ付けず、連勝を12に伸ばした。

ばんえい競馬での連勝記録は、サカノタイソンの19連勝。1996年のデビューから7連勝し、8戦目に2着があって、その後仕切り直しとなって19連勝を達成した。

スマイルダンスの父が、そのサカノタイソン。普段サラブレッドの競馬を見ている人が初めてばんえい競馬を見ると、まず馬の大きさに驚くが、サカノタイソンはばん馬の中でもひときわ大きい馬だった。漆黒の馬体もあり、近づいて正面から見上げると、文字通りの怪物、いや怪獣といったほうがいいかもしれない。サカノタイソンは、ばんえい記念まで制して真のチャンピオンとなり、種牡馬となった。

スマイルダンスは、なんと!明けて11歳の牝馬。3~4歳時こそ重賞に出走したものの3着が最高という成績で、近年はB級格付け。重種馬の資源が豊富だったかつてであれば、とうに定年で引退して繁殖に上がっていた年齢だが、生産頭数の減少が心配される近頃は、ばんえいの競走馬としての定年はなくなっている。

馬主は、父のサカノタイソンも、スマイルダンスも、同じ大阪武さん。旭川で豚肉の生産業をされていて、ばん馬の生産・調教もみずからやっている。であればこそ、馬を休ませながら大事に使えるのだろう。スマイルダンスは通算225戦46勝という成績。11歳でも、果たしてサカノタイソンの連勝記録更新を狙っているのかどうか。

そしてメインの黒ユリ賞は、2番人気のブルーオーシャンが第2障害を2番手で越えると、あっという間に先頭に立って後続を突き放した。

ホテルに戻り、ネット更新などの作業を終えて夜の9時前。最近は旅先でのひとり外飲みも億劫になって、このままコンビニの適当なものを食って寝てしまおうかと堕落しかけたが、いやここはフードバレー帯広だ、と思い直した。

日曜夜の帯広の街はほとんどゴーストタウンだが、外に出てみて思い当たる店があった。一時期、帯広に来るたびに寄っていた吟寿司という庶民的な寿司屋があり、ご主人、その奥様、息子の3人でやっていたのだが、ご主人の持病が悪化したかなにかで息子が継ぐことなく潔く店を閉めてしまった。それは地元新聞で記事になったほど。その吟寿司だった店舗が魚がウリの居酒屋になっていたのは知っていたのだが、今まで入ってみる機会はなく。それが日曜日にもかかわらずネオンが灯っていたのだった。

入口の外に置いてあるメニューを見ていると、中から威勢のいいにいちゃんが出てきて、いきなり「何名様ですか?」と。勢いに負けて「ひとりでもいいですか」とこたえて店内へ。カウンターに座り店内を見回すと、居抜きでうまく改装されていて、しかし寿司のネタケースなどはそのまま。つい吟寿司のころの面影をいろいろと探してしまった。

期間限定サービスの刺身8品盛がなんと!500円也。これが豪華でおいしく満足。魚でひとり飲みは迷わず日本酒だ。ということで、奈良県の梅乃宿・純米吟醸。北海道増毛町の国稀。

さて、3月もまた帯広。そのときは土日と2泊ゆえ、土曜日の夜は飲み屋が選び放題だ。


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