明日25日に菊花賞が行われる京都競馬場の芝コース。
秋競馬が始まって2週、そして今日土曜日の競馬が終了しましたが、今年の京都の芝コースの傾向はちょっと今までとは違うぞと感じている方も多いのではないでしょうか。


京都では今年初めて、開幕2ヵ月前のタイミングでエアレーション作業(バーチドレンという機械を入れ、馬場を軟らかくする作業)が行われました。

このコラムでも何回かご紹介している通り、JRAではこの数年、‘軟らかい馬場造り’を進めており、京都では開幕の約2ヵ月前のタイミングにあたる8月のお盆過ぎにエアレーション作業を初めて行ったのです。


そして、この作業を行って明らかに変わってきた傾向がいくつかあります。

まずは脚質別成績です。

例年、秋の京都開催は開幕週や2週目までは「逃げ・先行」が数多く台頭する事が多いのですが、この秋は中団からの差し馬の台頭が目立ちます。

ちなみに、今日土曜日(24日)の脚質別成績は、

・逃げ 2勝、2着0回、3着0回
・先行 1勝、2着4回、3着1回
・中団 3勝、2着1回、3着2回
・後方 0勝、2着1回、3着3回

今日は逃げ切り勝ちも2回ありましたので、どのタイプもまんべんなく勝っていますが、連対や3着を考慮すると、「先行~中団」の馬場で、先週よりも少し前目にシフトした馬場だった印象です。



次に種牡馬です。


先週土曜にメイショウサムソン産駒が3勝。
そして今日土曜はハービンジャー産駒が3勝。

今までの「軽い芝」という京都のイメージとは正反対タイプの種牡馬の子供達が勝利を挙げており、昨年までの京都の馬場では考えられないような現象が起きています。


これは、冒頭にも書いた「開幕2ヵ月前のエアレーション作業」の影響があると、私個人は思っています。

やはり、開幕に近いタイミングでバーチドレン作業をすると、それだけ馬場は軟らかくなった状態になりますからね。

それに、拙著「馬場のすべて教えます」にも書いていますが、京都競馬場ではこの数年、決まった時期に馬場硬度を調べており、それによると、シャタリングマシンを2011年に取り入れるようになってからは、京都の芝馬場の硬度数値は年々低くなってきているんですよ(数詞が低い程、軟らかい)。


でもここで、「走破タイムが速い。速いタイムなのに、重めの血統の馬が来るのが不思議」と、混乱すると方も多いと思います。



そこで、タイムが本当に速いのか。自分なりに調べてみました。

すると、4回京都開催の開幕週の比較でいうと、今年は昨年より、約0.4秒時計がかかっていました。

そして、先週は昨年の2週目と同じ位のタイム差で推移していました。


これも私なりの見解ですが、今年の開幕週の時計が昨年程速くならなかったのは、やはり開幕前に行ったエアレーション作業の影響があったと思います。


では、なぜ2週目の時計が速くなったのか?

これは、降雨量が少ない事が影響しているのではないでしょうか。

京都競馬場では10月11日の夜に雨が降って以来、今日24日まで全然、雨が降っていないのです。


約2週間も雨が降っていないのですから、馬場が乾き、速い時計が出ているのだろうと、私は考えています。


現に、JRAホームページの「馬場情報」を見ると、今週は月曜から木曜までの毎日、散水を行っていますし、「週末情報」をチェックしても、「23日金曜に散水を行いました」と書いてありました。


つまり、今週月曜から金曜まで、芝の生育のために散水をしなければいけないほど、乾燥しているということなのでしょう。


だから、イメージとしては、
「時計は出るけど、パワーを要する馬場」という事になるのでしょうか。


今まで、私達はこういう馬場を経験した事がないので、難しいですね(苦笑)。


ただねすね。
皆さん気付いていましたか?

ディープインパクト産駒はこの秋の京都開催の芝で9勝もしており、昨年を上回るペースで勝ち星を量産しています。


今日土曜日はディ―プ産駒は勝てませんでしたが、そもそも今日はディ―プ産駒が2頭しかいませんでしたので、「もうディ―プは来ない馬場」とするのは早計です。


では結局、

重め血統なの?

それともディープ?


ごめんなさい、悩ませてしまいますね。


最後の手段としては、明日日曜日に菊花賞までの芝のレース結果をしっかり見て、どんな脚質の馬が連対しているか、どんな種牡馬の子供が来ているか、しっかりチェックする事だと思います。


それと、やはり菊花賞の舞台である「3000㍍という舞台」をどう見るかですよね。

これまで、何年もスタミナ血統が台頭してきたレースです。


それに加えて、今年は「2ヵ月前にエアレーション作業をした馬場である」という事実。

更には、「重めの血統馬の産駒達も台頭している」という事実。


私はこれは結構、影響すると思っているんですけど、
結果はどうでしょうね。


今年の菊花賞は大いに悩み甲斐のあるレースですね。



◆小島友実【ターフ便り】
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