サンデーサイレンス系×キングカメハメハの配合牝馬にはエビファネイアが最適◆青木義明の競馬一直線


青木義明です。先週の種牡馬当てクイズの答えはエビファネイアでした。多くの皆様から正解が寄せられました。すでに2000ポイントの処理は完了しています。生産者、馬主さんにも役立つクイズだったと思います。以下、その正解の根拠をご紹介します。


(馬事通信2015.10.15号より一部抜粋)


[配合診断の実例=デアリングバードの場合]


●血統的特徴

デアリングバードの血統構成は父キングカメハメハ、母の父サンデーサイレンス、祖母の父ダンジグ Danzig というものだ。母は活躍牝馬のデアリングハート。

父のキングカメハメハは言わずと知れた名種牡馬。サイアーラインはキングマンボ→ミスタープロスペクターと現代主流の一つで、その上にヌレイエフ、トライマイベスト、そしてニジンスキーのラインを通じてノーザンダンサーを3本継続クロスしていること。これからノーザンダンサーを二本、三本とクロスしようかという状況の中で2001年に生まれたキングカメハメハは時代の先をいった印象が強い。ある意味で画期的だ。

そして、種牡馬として成功した要因はバックパサーとニジンスキーのニックスを内包し、これを発展させる形でニジンスキーのクロスを獲得すること。あるいはキングマンボの母ミエスク Miesque がリボー、プリンスキロ、トゥルビョンと欧州を代表する名血を内包することで、それそれの継続クロスから馬体の柔軟性と勝負根性を補強すること。さらにミスタープロスペクター自身のクロスの獲得。

総じてこの3点が配合のポイントだが、もう一点、確認しておくべき点はサンデーサイレンス→ヘイローのラインを持たないことだ。したがって、日本の競馬サークルにあってはサンデー系牝馬との配合で自己を活用しやすい立ち位置にいる。


●配合の方向性

デアリングバード自身はサンデーサイレンが入るので配合的セオリーを踏んでおり、ある意味で完成形だ。そこでノーザンダンサー4本継続クロスの次なる方向性を探れば、その直仔へとクロス血脈を前進させることである。

具体的には母系のダンジグか父系のニジンスキーが視野に入る。その他ではサンデーサイレンス自身のクロスだが、これが3×3では早すぎるが「4×3」なら了解しうるものだ。さらにキングカメハメハには多様な血脈が内包されているので、並行してこれらのクロスを引き出せれば合格点が付けられる。


●具体的な相手

〇エビファネイア
エビファネイアと配合されるとサンデーサイレンス4×3のクロスが派生する。3×3はすでに競馬場で散見されるがまだ大物はいない。淡泊、単調、マイラー。中距離で切れ味を発揮するには「4×3」の具現と、これに相応のスパイスを加える必要がある。

エビファネイアの場合だとヘイルトゥリーズン4本、プリンスキロ4本が注入されるので弾力性と粘り強さが補強される。加えて、この母においてはニジンスキー6×7、バックパサー7×7と頑健さと骨量を増す血脈のクロスも派生する。

サラブレッドの配合はトータルな観点から施されるべきだが、シンボリクリスエス産駒のエビファネイアの存在はサンデーサイレンス系×キングカメハメハの配合馬の止揚にとって貴重な存在となり得るだろう。



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