◆青木義明の競馬一直線
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・生産地と競馬サークルを結ぶ情報紙「馬事通信」9月15日号掲載分を転載します。


[配合診断の実例=カルトマリーヌの場合]


●血統的特徴
カルトマリーヌの血統構成は父クロフネ、母の父ブライアンズタイム、祖母の父シンボリルドルフ。近親には桜花賞馬リーゼングロスやエリザベス女王杯に勝ったタケノベルベットがいる血統。自身はタフに40戦を走って1勝。ダート1800mを逃げ切っている。総じて血統構成上は中距離タイプと言える。

父のクロフネは2009、10年のJRAダートチャンピオンサイアー。祖父デピュティミニスターDeputy Ministerも、97、98年の米国チャンピオンサイアーだ。

クロフネは、ノーザンダンサーの父ニアークティック Nearctic5×4と母の父ネイティウダンサーNative dancerを6×5でクロスさせており、ここからパワー優先、ダート巧者の産駒も多い。母系には異系血脈が取り込まれており、体質強化から母の父としても期待できるところだ。

●配合の方向性
クロフネ産駒のカルトマリーヌ自身は母の父ブライアンズタイムの関係からロベルト5×3のクロスを得ており、したがってその父ヘイルトゥリーズンのクロスも2本存在するのでサンデーサイレンス系の種牡馬とは相性を高める。その場合、ヴァイスリージェントとよく似た血脈のノーザンテーストを内包するサンデー後継馬に食指を動かされる。また、ブライアンズタイムならばリボーのクロスは必要条件ともいえるし、シンボリルドルフのトゥルビョン Tourbillon も活用したいところだ。母にはすでにジェベル Djebel 3本、その父トゥルビョン6本の継続クロスがあるが、ここは引き続き生かしたいところだ。

候補として取り上げたのは以下の3頭。順序に大きな意味はないことを付記させていただく。


●具体的な相手
〇ゴールドシップ
ゴールドシップはノーザンテーストを内包するステイゴールド産駒の一流馬だが、配合のポイントの一つは母系にザミンストレル The Minstrl を持つこと。ノーザンテーストもザミンストレルも父ノーザンダンサー、母の父ヴィクトリアパーク Victoria Park だから4分の3が同じ血統構成の疑似クロスとなる。ここに着目してクロフネ牝馬にゴールドシップを配合するとヴィクトリアパークの母のヴィクトリアナ Victoriana が3本継続クロスされ配合レベルが向上し、勝負根性も増幅する。さらにステイゴールドにはリボーと近似血脈プリンスシュヴァリエが入るので、この疑似クロスが派生するし、パーソロン(6×5)→ジェベル5本→トゥルビョン12本の継続クロスが得られてシンボリルドルフの長所も引き継がれる。また、フェアトライフル Fair Trial のクロスも獲得するので父より自在性が高く、勝負根性に富んだ中距離馬が期待できる。



〇キンシャサノキセキ
キンシャサノキセキを配合相手に選ぶとヘイルトゥリーズンが3本になり柔らかみと筋肉の弾力性が増す。また、グロースターク Graustark=ヒズマジェスティ His Majesty 4×5の同血馬クロスを獲得し、ブライアンズタイムのリボーが生かされて勝負根性に期待できる。加えてジェベル→トゥルビョンの継続クロスも数多く派生するので、この母系のキーポイントが生かされる。ただし、クロフネのカナダ血脈には触らない形でのノーザンダンサー5×6のクロスなので頑健さよりも器用さ、柔軟な先行力を特徴としており平坦コースならより楽しめる。



〇カジノドライヴ
エーピーインディ A.P.Indy 系は非ノーザンダンサー血脈として今日的価値を高めているが、5代アウトクロスのカジノドライヴはその母の父がヴァイスリージェントの代表産駒デピュティミニスター Deputy Minister でもあり、総じてパワフルだ。カルトマリーヌとの配合からデピュティミニスター3×4のクロスを獲得するので、底力に富み、ダート適性も高い。ただ、このクロスの周縁部分をヘイルトゥリーズン、リボー、ジェベル→トゥルビョン、プリンスキロらの良質な血脈がクロスしているので単なるダート馬には終わらせないハイレベルな能力を獲得する。また、サンデーサイレンスを内包しない点でも「次世代」の配合に向けての希少価値が高まる利点もある。一度はチャレンジして欲しい。



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