◆青木義明の競馬一直線
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・生産地と競馬サークルを結ぶ情報紙「馬事通信」9月1日号掲載分を転載します。

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[配合診断の実例=カネトシエターナルの場合]


●血統的特徴

カネトシエターナルの血統構成は父ハーツクライ、母の父カーネギー、祖母の父シルヴァーホーク Silver Hark というもので、近親に長距離重賞で活躍したトウカイトリックがいる。小柄な母コンゴウアンゲルスは未勝利だったが、祖母は米国の芝重賞勝ち馬で、牝系は米国の名門。総じて血統構成上は中距離タイプと言える。

父のハーツクライはサンデーサイレンス×トニービン×リファール Lyphard という血統構成で5代アウトクロス馬。現役時代は中距離の一流馬として活躍し、衆知のように有馬記念ではディープインパクトを負かした。母の父に入るトニービンは全くの欧州血脈だが、ハーツクライの3代母マイブーバーズ My Bupers が良質の米国血脈、すなわちブサンダ Busanda やブルーラークスパー Blue Larkspur で構成されているのでサンデーサイレンスの米国血脈と配合的にうまく呼応している。

そんなハーツクライ牝馬の配合の肝は「リボー Ribot とブサンダ Busanda とヘイルトゥリーズン Hail to Reason 」の活用と言えよう。トニービン産駒に共通している勝負根性は、その父カンパラ Kampala がリボーと近似血脈プリンスシュヴァリエ Prince Chevalier を内包しているからにほかならない。もちろん、ハーツクライの母系に入る米国血脈ブサンダ(その父ウォーアドミラル)やネイティウダンサーやノーザンダンサーのクロスも求められるところだ。


●配合の方向性

カネトシエターナル自身はノーザンダンサー5×4のクロスを持ち、その構成血脈のアルマームードとニアークティックのクロスも獲得しているので、今後はネイティヴダンサーとノーザンダンサー系のクロスの取り込みが基本的な方向性だ。さらに、祖母の父カーネギー(サドラーズウェルズ×リヴァーマン)からトゥルビョンの注入、そしてヘイルトゥリーズン3本クロスゆえにその直仔ヘイローまたはロベルトへとクロス世代を前進させたい。また、血統的には総じて硬めで重厚感があるので軽快さに富む種牡馬または骨量の期待できる相手を探したい。

候補として取り上げたのは以下の3頭。順序に大きな意味はないことを付記させていただく。


●具体的な相手

〇バゴ
バゴは気性が強いタイプだが、それは母系のノーザンダンサーの母ナタルマ Natalma(その父ネイティヴダンサー、その母アルマームード)3×4の強いクロスも一因だし、リボーとプリンスシュヴァリエの疑似クロスを内包することも影響している。

しかし、カネトシエターナルと配合されるとヘイルトゥリーズン→ヘイロー(5×4) へと世代が前進し、ヌレイエフを取り込んでノーザンダンサーの構成血脈を継続クロスする効用も評価できる。さらにバゴの父ナシュワンはディープインパクトと同じ牝系だから、この産駒が繁殖となる場合にはその辺の配合的利点もある。また、リボーとプリンスシュヴァリエが3本に継続され、馬体的な伸びやかさと勝負根性も期待できる。


〇クロフネ
クロフネを配合相手に選ぶとヘイルトゥリーズン→ロベルト(5×5)を得られて特に豊かな骨量が期待できる。また母からヘイロー(アルマームード)のクロスも注入されるのでノーザンダンサーの構成血脈も完備し、これはセオリーとなる。さらに、祖母の父カーネギーに内包されるネヴァーベンド Never Bend 5×6と、その母ララン Lalun が3本継続されるため気性の強さ(勝負根性)が増幅される可能性が高い。また、プリンスジョン Prince John もクロスされるため胴伸びも期待できるだろう。


〇ケープブランコ
カネトシエターナルにはリファールとサドラーズウェルズを経たノーザンダンサー5×4のクロスがあるが、このうち前者のクロスを得るにはふさわしい種牡馬が見つからない。そうなると後者のクロスとなるが、単なるサドラーズウェルズのクロスでは重さと勝負根性の希薄さに懸念が残る。ただし、ケープブランコの場合だとその「3×4」となる上に、ネイティヴダンサー、ヘイルトゥリーズン、そしてラランなどが継続する「複合クロス」となるので懸念は払拭されやすく、またハーツクライを活かすブサンダやプリンスシュヴァリエのクロスも同時に獲得するのでトータルの競走能力はかなり高まると期待できる。一度はチャレンジして欲しい。



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