「サウンドオブハート×ノヴェリスト」の配合馬に3000万円◆青木義明の競馬一直線


【馬事通信】掲載原稿


実際に小生が配合をアドバイスしたケースから前回は[ニシノナースコール×ディープインパクト]を取り上げたが、今回は「サウンドオブハート×ノヴェリスト」についてご紹介したい。

サウンドオブハートは通算成績10戦6勝。芝1400メートルの阪神牝馬ステークスに勝ち、阪神ジュベナイルフィリーズは1番人気で3着、桜花賞は5番人気で4着だった。結果的に1400メートル戦は3戦3勝で、これが最適距離と言えるかもしれない。ちなみに、この馬は小生の配合アドバイス馬でもあり、何とか大きいところをと願っていたが、これからというところで屈腱炎を発症し繁殖入りした。だが、その血統構成からは、むしろ母馬としての可能性の方が大きく、いずれ名繁殖牝馬として歴史に名を刻むものと確信している。

その父アグネスタキオンはサンデーサイレンスの後継種牡馬で、その母系にノーザンダンサーを持たないタイプだが、最大のポイントはニジンスキーと同牝系のロイヤルスキーを内包する点にある。アグネスタキオン産駒は豊かな骨量と弾力的な筋肉を具現化して芝、ダートを問わず高い能力を発揮しており、すでに「母の父」としても頭角を現しつつある。

サウンドオブハートの母シンメイミネルバはカーリアン(その父ニジンスキー)×ウッドマン(Woodman)×ダンジグ Danzig の血統構成で、半妹スペランツァ(サンデーサイレンス)の産駒に名マイラーで種牡馬となったシルポート(ホワイトマズル)がいる。

サウンドオブハートの祖母フジャブは血統的に見て豊かな骨量と直線的なスピードを持ち味とするが、とりわけ骨量形成はウォーアドミラル4本継続のなせる業だ。また、ウッドマン×ダンジグからネイティヴダンサー4×5のクロスを獲得、これにカーリアンを配合されたシンメイミネルバはノーザンダンサーの3×4と、素直にセオリーを踏んでいる。

したがって、あとはサンデーサイレンス系から「アルマームード」のクロスを獲得すれば高い競走能力が期待できる訳である。そこで小生は名牝フレアリングトップ Flaring Top 6×5、並びにヘイルトゥリーズン4×5が同時にクロスするアグネスタキオンを選択、その甲斐あって10戦6勝と頑張ってくれた。

次に繁殖牝馬としてのサウンドオブハートは相手種牡馬を選ばない柔軟な血統構成をしている。その中で小生は初年度の配合相手に新種牡馬ノヴェリストをチョイスした。

ポイントは三点挙げられる。ノヴェリストの父モンズン Monsun が重厚なドイツ血脈であり、異系のクロスを内包するため、体質的な強化と距離克服能力を期待できることが一点。

また、ノヴェリストの母はニジンスキーを含むノーザンダンサー3×4のクロス馬であり、サウンドオブハートのカーリアン→ニジンスキーに呼応して5×4のクロスを得ることが一点。このクロスの有効性は名牝ブエナビスタや今春の桜花賞馬レッツゴードンキなどですでに実証されている。

そして、ドイツ血統の裏方的な役割を果たすトゥルビョン Tourbillon がロイヤルスキーにもクロスされているため、ノヴェリストと配合されると計10本の継続クロスを獲得し、トータルの競走能力の高揚に資することが一点。

先日の当歳セレクトセールでこの初年度産駒は3000万円で購買されたようだが、馬主さんにとって素晴らしい買い物となることを願ってやまない。

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