「リオ五輪は金狙う」と意欲も…加速する佐々木監督解任論



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2015年7月9日(木)9時26分配信 日刊ゲンダイ



 前回11年ドイツ大会に続き決勝まで勝ち進んだものの、米国との一戦は2―5のワンサイドゲーム。それでも日本サッカー協会上層部は、カナダW杯で「ベスト4でプラス評価」と考えていたというから、決勝に進出した佐々木則夫監督(57)の評価は上がりさえすれ、下がることはないというのが普通だろう。

■宮間主将に「3バックはしっかり練習したのか」と問うと…

 ところが、あまりにも米国戦の負けっぷりが悪かった。前半16分までに4失点。それから佐々木監督は、ボランチのMF阪口を最終ラインに組み入れたり、定番のディフェンスを4バックから急造で3バックにしたり、迷走采配を積み重ねた。

 3バックに変更しようとした場面では、佐々木監督の意図がハッキリ伝わらず、阪口や右SB有吉らが右往左往。司令塔のMF宮間が呆れたような表情で、選手に持ち場に戻るように指示を出す場面もあり、ピッチ上で混乱をきたした時間帯もあった。7日の帰国会見終了後、日刊ゲンダイが宮間に「決勝でいきなり変更して対応できるだけの時間、3バックの練習をやったのですか?」と直撃すると、「練習はしました。監督の指示で動くのが選手ですから」と返答。「選手に違和感は?」には「ありません」と言い切ったが、ピッチ上では不満の色がありありだった。

 いずれにしても、決勝の米国戦で指揮官に対する評価に「?」マークが付いたのは間違いない。佐々木監督の去就を巡り、協会周辺からもあれこれ聞こえてくるようになった。

「佐々木監督の契約自体は、今年の夏までなんですが、カナダW杯で1次リーグ敗退などの大惨敗でもしない限り、来年8月のリオ五輪まで延長するということで基本合意に達していた。契約延長の際にはカナダW杯の成績によって、年俸など条件面をアップさせることになっていた。しかし、米国戦の完敗劇をきっかけにチーム内部から不協和音が表面化し始め、佐々木監督の契約延長が微妙な情勢へと変化したようです」(協会関係者)


■「ノリオってサイテー」

 そもそもカナダW杯前から、08年から続く佐々木監督長期政権の弊害が顕在化しつつあった。

 昨年のなでしこリーグ期間中、佐々木監督がリーグ視察に来なかったことが数回あり、協会関係者や選手がいぶかりながら調べてみると「講演会のスケジュールが優先されていた」(サッカージャーナリスト)。選手からはブーイングの嵐だったという。

 今年3月、ポルトガルでアルガルベ大会が行われ、大黒柱のMF澤(36)がメンバーから外れた。

 佐々木監督は「澤とは電話でコミュニケーションをとっているし、今回の代表選考のことも伝えてある」という趣旨のことをマスコミ関係者に話した。報道された佐々木監督のコメントを伝え聞いた澤が「メールが数回届いただけ」と不快感をあらわにして、それが代表選手の耳に入って「ノリオってサイテー」と総スカンだったともっぱらだ。

「なでしこジャパンはドイツW杯以降、澤に代わって主将を務めるようになった宮間が仕切り、宮間からダメ出しされると功労者である佐々木監督も、その座は安泰とは言えない。宮間は佐々木監督が12年ロンドン五輪以降、新戦力発掘のためとはいえ、実力不足の若手を多く招集したことに不満を抱き、今では代表選手たちも佐々木監督ではなく、宮間の言い分を聞くようになった。確かに代表合宿中などのミーティングでも、佐々木監督が話すのは冒頭の20分がせいぜい。あとは宮間が中心になって選手同士が話し込んでいる。ある日のミーティングでの出来事。佐々木監督が10分ほど話したら、一部の主力選手が『ノリオ! もういいから。あとはコッチで進めるから!』と大声を出した。想定外の事態に初めて代表合宿に参加した若手選手は、腰が抜けるほどビックリしていた」(前出の関係者)

■後任に浮上する女性指揮官の名前

 12年8月、ロンドン五輪が銀メダルという結果に終わり、翌9月に契約が満了することになっていた佐々木監督は、退任するつもりでいたという。結局、契約を更新してカナダW杯でも指揮を執ったが、13年中にサッカー協会は「次期なでしこ監督は女性」を基本方針に据え、元日本代表MFの高倉麻子・U―18(18歳以下)代表監督(47)に白羽の矢を立てたといわれている。

「13年に高倉監督は、14年開催のU―17(17歳以下)女子W杯の出場を目指すU―16(16歳以下)日本代表監督に就任。まず経験を積ませるのが目的でしたが、手腕をメキメキ発揮してU―17W杯を制してしまった。この時点で、ポスト佐々木監督は高倉監督で確定でした。佐々木監督は16年8月のリオ五輪を最後に勇退。そして高倉なでしこ監督が誕生する――。これがサッカー協会の青写真だったのです」(前出のジャーナリスト)

 しかし、佐々木監督の求心力が低下している現在、可及的速やかに人心を一新してリオ五輪に臨むべきでは、という意見が噴出しているという。

 なでしこジャパンは8月1日に中国で開幕する「東アジア杯」(中国、韓国、北朝鮮が参加)に出場する。佐々木監督は去就について明言を避けつつも「東アジア杯に向けてしっかり準備をしてから、その次がある」と意欲ものぞかせたが、ここで不細工な試合をしたら、一気の監督交代もあり得ない話ではない。





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