須田鷹雄さん、ありがとう☆シンガポールで馬主になる◆須田鷹雄【野次ウマ競馬】

 仕事の空いた週末を利用して、シンガポールに行ってきた。数年前から現地で競走馬を共有させていただいており(メインはちゃんとした馬主さんで、私はあくまでごく一部)、そのうちの1頭が出走するため、観戦に行った次第である。

 そこで今回は、シンガポールにおける馬主生活(?)はどのようなものか、ご紹介したい。

 中央競馬のような厳しい条件はなく、馬を10パーセント以上共有していれば誰でも馬主になれる。預託先厩舎などを書いた書類とパスポートのコピーを送れば現地に赴く必要もなく、ごく簡単な手続きだ。

 馬主章(カード)はそれだけで日本に送られてくるが、競馬場の各所を通行する際の通行章は現地に行かなければ手に入らない(そもそも現地に行かないなら通行章は必要ないのだが)。これは初回だけ、競馬場正面入り口脇の警備オフィスに行き、写真を撮られるだけで手に入る。これにより馬主エリアへの出入りなども自由になる。

 馬主席は競馬場3階にある。馬主だけでなくその紹介による友人等も利用できるので、実質的には馬券おやじの集うラウンジになってしまっているが、逆に自分が馬主になった場合、シンガポール旅行に行く友人に馬主席をあてがうことも可能だ。馬主席では食事やアルコールの準備もあるので、大勢で行って競馬を楽しむのもおすすめである。

 馬主という観点で見た場合、シンガポールターフクラブがJRAより明らかに優れている点がひとつある。それはシャンパンルームだ。所有馬が優勝したときに乾杯しながらビデオを見ることができる部屋のことだが、JRAではもともと中央場所の特別レースしか対象になっておらず、しかも2011年の震災時に自粛を名目に実質廃止してしまった。

 STCは逆に、スタンド改装時にシャンパンルームの内装をより豪華にした。しかも1Rから最終レースまですべてのレースが対象となるので、勝ったときの気分は最高だ。

 賞金はというと、ダートグレードを除く南関東より若干安い程度の水準にある。出走手当ては3万円程度で、しかも最下位の馬には支給されない。よって日本の地方競馬のように使ってさえいればさほど損をしないという形にはならないのだが、預託料が円安の今でも月25万円程度なので、稼げる馬を持っていればかなりおいしい。

 唯一の問題は、日本にいるとレース映像が生で見られないこと。シンガポールではノミ行為防止のため、競馬のテレビ中継が規制されている。電話投票会員のみがレーシングチャンネルに加入することができ、しかもケーブルテレビでしか見られないので日本からは視聴できない。

 シンガポール在住の友人がいれば、電話投票会員になってもらう→レーシングチャンネルに加入してもらう→Slingboxという機会で日本からオンライン視聴可能にする……という手段もあるのだが、なかなか手間がかかる。レース終了30分ほど後からSTCの公式サイトで動画が公開されるので、現状ではそれを見るしか手段がない。


◆須田鷹雄【野次ウマ競馬】
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