インタビュー◆沢田準の競馬を楽しく

年間騎手免許を取得した二人の外国人騎手、ミルコ・デムーロ騎手に続いてルメール騎手も重賞を制覇した。ルメー騎手は初勝利が大阪杯というもので、今後の二人の活躍は約束されたものと言えるだろう。

ところでこの重賞制覇の時にいささか気になったことがある。レース後のインタビューである。

私が聞いたのはテレビの放送内でのものだが、二人とも日本語での対応となった。これは免許取得には日本語での会話が必要とされたためだろう。

しかしこれは無理があったようである。ミルコ・デムーロ騎手は日本の免許への挑戦が二度に渡るために日本語の勉強が長いことと思われ、インタビュアーの質問は理解できたようだ。

一方ルメール騎手はヒアリングもまだ十分ではなく、テレビの画面には映っていない通訳を聞いていたことが明らかだった。

そして二人とも話すほうはまだまだであり、うれしいといった程度でレースの内容などはあまり話すことはなかったのである。

もともと外国人騎手は日本人騎手とは異なり、インタビューでは雄弁である。日本人騎手は誰も質問されたことについて答えるだけだが、外国人騎手はちょっと聞かれただけで延々と話す。通訳が困るのではないかと思うほどだ。

これは騎手だけでなく、他のスポーツでも、といっても私がよく見るのは自転車のロードレースだが、どの選手もその回答は実に長い。

おそらくインタビューに詳しく答えるのは選手の義務だと考えているのだろう。一方日本では騎手だけではなく他のスポーツでも回答はみじかい。相撲のように全く話さない人さえいる。

ミルコ・デムーロ騎手にしてもルメール騎手にしても本当はもっと話したいはずだ。しかし日本語が不自由だから話せないというのはもったいない話だ。

JRAの年間免許を取得したのだから日本語は自由なはずだという前提なのだろうが、実際はこれは仮定に過ぎない。

両騎手ともすでに年齢は30代半ばだ。10代や20代前半の世代なら外国語、特にヨーロッパ人にはむつかしい日本語を習得するのはまだ容易だろうが、二人の年代では簡単ではない。

もともと外国人騎手に通年免許を与えるのに日本語が達者であることが必要だろうか。野球でもサッカーでも日本語を話せない外国人選手は珍しくはないのである。


◆沢田準【競馬を楽しく】
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