セレクトセールのプレイヤーと野次馬◆須田鷹雄【野次ウマ競馬】
この原稿は、セレクトセール上場馬の下見で宿泊中の千歳で書いている。
もちろん私が買うわけではなく、本物の馬主2人の代わりに下見しているだけだが、見たり馬主とディスカッションしたりする以上、「買う人目線」で見てはいる。ただその一方で本業のマスコミ目線というか「野次馬目線」も持っているわけで、両者を行ったり来たりするのは面白いものだ。
野次馬に軸足を置いたときに考えるのは、馬が高くなったということだ。賞金が上がったわけでもないのに、景気が持ち直し馬が増えたことで、セレクトセールは特に過熱している。サマーセールあたりでも去年は過熱したのだから、セレクトセールのほうは即火傷レベルである。
例えば昨年のセレクトセール1歳セッション、取り引きされた210頭の中間値、105位・106位はともに税込2700万円、税別2500万円だった。
これが5年前の2010年だと、取引馬173頭の中間値=87位の馬は税込1575万円、税別1500万円。2500万から見れば6掛け、逆に1500万から2500万を見たら1.6倍以上だ。ちなみにこの年の1歳セッションは最高価格馬でも6930万円と、だいぶ平和だった。
おそらく、今年はさらに過熱したセールになるだろう。賞金が同じで馬だけ高いなんて、そんな状態でなぜ馬を買うの? と考える競馬ファンもいるだろうが、それを言い出したら馬券を買う我々のほうも説明がつかない。控除率が25%から27.5%になっても、同じように3連単を買い続けている。それ以前に、これだけの幅の控除率を承知で馬券を買うこと自体、理屈で説明はできない。
それに比べれば馬主の世界は、お金の出入り以外の楽しみが付いてくる。愛馬が出走するときの楽しみ、勝利したときの快感、大レースを制したときの名誉……。クレジットカードのCMで言うところの「プライスレス」の部分が大きく、そのための投資は、プライスで語ってはいけないのかと思う。
しかしそうはいっても、一部の巨人たち以外にとってはしんどすぎる戦いになってきているのも事実。イギリスの影響で為替や株価がえらいことになっているいま、誰が戦線に残って誰が退くのか。今年のセレクトセールにはそんな野次馬の楽しみもある。
◆須田鷹雄【野次ウマ競馬】
http://bit.ly/1QQoLrX
◇競馬通信社◇
http://ktsn.jp
この原稿は、セレクトセール上場馬の下見で宿泊中の千歳で書いている。
もちろん私が買うわけではなく、本物の馬主2人の代わりに下見しているだけだが、見たり馬主とディスカッションしたりする以上、「買う人目線」で見てはいる。ただその一方で本業のマスコミ目線というか「野次馬目線」も持っているわけで、両者を行ったり来たりするのは面白いものだ。
野次馬に軸足を置いたときに考えるのは、馬が高くなったということだ。賞金が上がったわけでもないのに、景気が持ち直し馬が増えたことで、セレクトセールは特に過熱している。サマーセールあたりでも去年は過熱したのだから、セレクトセールのほうは即火傷レベルである。
例えば昨年のセレクトセール1歳セッション、取り引きされた210頭の中間値、105位・106位はともに税込2700万円、税別2500万円だった。
これが5年前の2010年だと、取引馬173頭の中間値=87位の馬は税込1575万円、税別1500万円。2500万から見れば6掛け、逆に1500万から2500万を見たら1.6倍以上だ。ちなみにこの年の1歳セッションは最高価格馬でも6930万円と、だいぶ平和だった。
おそらく、今年はさらに過熱したセールになるだろう。賞金が同じで馬だけ高いなんて、そんな状態でなぜ馬を買うの? と考える競馬ファンもいるだろうが、それを言い出したら馬券を買う我々のほうも説明がつかない。控除率が25%から27.5%になっても、同じように3連単を買い続けている。それ以前に、これだけの幅の控除率を承知で馬券を買うこと自体、理屈で説明はできない。
それに比べれば馬主の世界は、お金の出入り以外の楽しみが付いてくる。愛馬が出走するときの楽しみ、勝利したときの快感、大レースを制したときの名誉……。クレジットカードのCMで言うところの「プライスレス」の部分が大きく、そのための投資は、プライスで語ってはいけないのかと思う。
しかしそうはいっても、一部の巨人たち以外にとってはしんどすぎる戦いになってきているのも事実。イギリスの影響で為替や株価がえらいことになっているいま、誰が戦線に残って誰が退くのか。今年のセレクトセールにはそんな野次馬の楽しみもある。
◆須田鷹雄【野次ウマ競馬】
http://bit.ly/1QQoLrX
◇競馬通信社◇
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