産駒のプレスティージオが新馬-ヤマボウシ賞を連勝し、カジノドライヴが新種牡馬リーディングのトップに立ったそうですが、前回の当メルマガで紹介したマチカネベニツバキ14も、「War AdmiralとLa Troienne」を増幅した配合なのでプレスティージオと狙っているところは同じで、こういう配合で硬いパワー体質に出たカジノドライヴ産駒はダートで手堅いでしょうね~。
毎日王冠は登録13頭中10頭がディープインパクト産駒というのが話題になっていますが、春にエプソムCを逃げ切ったエイシンヒカリは母父Storm Catですから、キズナ、ラキシス、アユサン、リアルスティールなどと同じ組み合わせ。
この組み合わせはSir Gaylord≒Secretariatの3/4同血クロス5×4になるので、柔らかな体質でストライドで走るタイプが出やすく、上記馬を見てのとおり東京や外回りに向いた脚質になりやすいのです。
ちなみに2着サトノアラジンも母父Storm Catで、今春のエプソムCはディープ×Storm Catのワンツーでした。
東京芝1800mの重賞を勝ったディープ産駒はこれまで5頭いますが、うちエイシンヒカリとリアルスティールは母父Storm CatなのでSir Gaylord≒Secretariat6×4(Lady Rebecca≒Terlingua4×3)、ディサイファはSir Ivor5×6、トーセンレーヴはSir Gaylord6×4と、4頭はSir Gaylord絡みのクロスを持っています。
安田記念で2着に追い込んだヴァンセンヌも母父ニホンピロウイナーなのでSir Gaylord6×5、Sir Gaylordはナスキロ血脈の中でも最も柔らかみのある血で、それは裏を返せば非力ということでもあり、だからSir Gaylordのクロスを持つディープ産駒は若いころは体質が緩すぎて完成が遅れるケースも多く、エイシンヒカリやヴァンセンヌなんかは未だに少し後駆の蹴りが非力で前輪駆動で走ってます。
エプソムCでは直線のダラダラ坂でフラフラしていて、坂を上がってから二枚腰を発揮して抜かせなかったように、トモが非力なエイシンヒカリのベストコースは京都外回りで、下りから前輪駆動で惰性をつけて流れ込めるので[3.0.0.0]。
京都外1800mの都大路Sでは下りから後続を引き離しにかかって楽勝、あそこでのスパートに食らいついていけたのはグランデッツァだけでした。
このグランデッツァも見るからに前輪駆動で走る馬で、七夕賞勝ちに14年都大路S勝ちにマイルCS3着と戦績は平坦向き。
その母母父Distant RelativeはサセックスSやムーランドロンシャン賞に勝った名マイラーでしたが、その父Habitatはニホンピロウイナーの父父でもあり、Habitatの父がSir Gaylordです。
今年の都大路Sは、トモが非力な前輪駆動のSir Gaylord2頭が、京都の下りを転がり落ちてくるようなレースでした。
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望田潤(もちだ・じゅん)
1966年京都府生まれ。育成牧場従業員を経て競馬通信社に在籍、そこで笠雄二郎著『日本サラブレッド配合史』 の影響を強く受ける。現在はフリーで、競馬情報サイト『血統屋』『netkeiba.com』『競馬道ONLINE』、月刊誌『サラブレ』『UMAJIN』『エクリプス』などでレース予想やコラムを執筆中。共著『パーフェクト種牡馬辞典』は今年も3月に発売。大手馬主の配合アドバイザーや共有クラブ募集馬の配合診断もつとめる。
ブログ「血は水よりも濃し」
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◆望田潤【血は水よりも濃し】
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