須田鷹雄さん、ありがとう☆ばんえい競馬の売り上げ好調◆須田鷹雄【野次ウマ競馬】
なぜかこのところ、ばんえい競馬がニュースになる機会が増えている。7月28日には朝日新聞デジタル版が「ばんえい競馬V字回復のヒミツ 馬券発売額過去最高に」という記事を掲載し、30日にはTBSの情報番組が、やはりばんえい競馬の人気高揚について伝えていた。
確かに、ばんえい競馬の売り上げは回復している。状況が一番ひどかった2011年度あたりには1日の売り上げが4000万円台という日もあり、反対に1億円を超えるのは帯広記念とばんえい記念当日くらい、という状態だった。
それが今では、最も馬券の売れない土曜日でも8000万円前後の売り上げはキープしているし、逆に最も売れる月曜はほぼ毎週1億円を超えている。ご存知の通りばんえい競馬はJRAによるIPAT投票には入れてもらえないのだが、他のネットサービスが大きく伸びてこの売り上げに寄与している。特にSPAT4効果が大きい。
ただ「馬券発売額過去最高」というのは、帯広単場になった2006年度以降のことであって、しかも本場や直営場外の売得金額が減っていることを考えると、ばんえい主催者の「手取り」はまだ回復しきっていない。2006年当時が順調だったわけではなく、なにしろ道内4場中3場が廃止されたタイミング。やっとその頃に戻ったということである。
2006年以降も賞典費は削減に次ぐ削減が続き、厩舎だけでなく馬主経済はかなり圧迫されている。馬主については高齢化も進み、オーナーブリーダーでは後継者問題もある。加えて近年は馬肉の値段が上がり、競走用途に振り向けられる馬の数が減ってしまうという現象も起きている。
より専門的な立場で競馬に携わる者は、こういった問題を忘れてはならない。なんらかのゴールにたどりついたわけではなく、スタート地点に戻れたというだけだ。しかも本来のスタートよりはまだ少し不利な位置にいるかもしれない。
それでも、競馬をよく知らないメディアが「V字回復」と騒いでくれるのは、ありがたいことである。斜陽イメージから回復イメージに転ずることで新規来場者が増えることもありうるし、帯広競馬場の場合は観光資源としても期待されているのでなおさらだ。
売り上げも、少ないより多いほうが良いにきまっている。一時期はひたすら縮小均衡を目指すしかなかったが、タネ銭があればなんらかの施策が打てる。無駄遣いをすることなく、効果ある策を打っていってほしい。ばんえいは筆者をはじめマスコミの付き合いも多い主催者なので、お互い知恵を出していければと思う。
ばんえいは、帯広単場化も後も廃止の危機に晒されてきた。2010年は当時革新系だった現市長がばんえい存続を掲げていた一方、保守系の対立候補が廃止を主張するという「逆転現象」も起きていた。当時の票数差は、なんと僅か138票。70人が逆の意思を示していたら、この世からばんえい競馬は無くなっていた。ほんの5年前のことである。
いまでは、帯広市民もその多くが「ばんえい競馬があってよかった」と思ってくれることだろう。願わくばその状況が、末永く続いてほしいものである。また、荒尾や福山の廃止をよそに存続してきた他の競馬場も、ただ「IPAT景気」に浮かれるのではなく、永続的な仕組みづくりに励んでほしい。
◆須田鷹雄【野次ウマ競馬】
http://bit.ly/1QQoLrX
◇競馬通信社◇
http://ktsn.jp
なぜかこのところ、ばんえい競馬がニュースになる機会が増えている。7月28日には朝日新聞デジタル版が「ばんえい競馬V字回復のヒミツ 馬券発売額過去最高に」という記事を掲載し、30日にはTBSの情報番組が、やはりばんえい競馬の人気高揚について伝えていた。
確かに、ばんえい競馬の売り上げは回復している。状況が一番ひどかった2011年度あたりには1日の売り上げが4000万円台という日もあり、反対に1億円を超えるのは帯広記念とばんえい記念当日くらい、という状態だった。
それが今では、最も馬券の売れない土曜日でも8000万円前後の売り上げはキープしているし、逆に最も売れる月曜はほぼ毎週1億円を超えている。ご存知の通りばんえい競馬はJRAによるIPAT投票には入れてもらえないのだが、他のネットサービスが大きく伸びてこの売り上げに寄与している。特にSPAT4効果が大きい。
ただ「馬券発売額過去最高」というのは、帯広単場になった2006年度以降のことであって、しかも本場や直営場外の売得金額が減っていることを考えると、ばんえい主催者の「手取り」はまだ回復しきっていない。2006年当時が順調だったわけではなく、なにしろ道内4場中3場が廃止されたタイミング。やっとその頃に戻ったということである。
2006年以降も賞典費は削減に次ぐ削減が続き、厩舎だけでなく馬主経済はかなり圧迫されている。馬主については高齢化も進み、オーナーブリーダーでは後継者問題もある。加えて近年は馬肉の値段が上がり、競走用途に振り向けられる馬の数が減ってしまうという現象も起きている。
より専門的な立場で競馬に携わる者は、こういった問題を忘れてはならない。なんらかのゴールにたどりついたわけではなく、スタート地点に戻れたというだけだ。しかも本来のスタートよりはまだ少し不利な位置にいるかもしれない。
それでも、競馬をよく知らないメディアが「V字回復」と騒いでくれるのは、ありがたいことである。斜陽イメージから回復イメージに転ずることで新規来場者が増えることもありうるし、帯広競馬場の場合は観光資源としても期待されているのでなおさらだ。
売り上げも、少ないより多いほうが良いにきまっている。一時期はひたすら縮小均衡を目指すしかなかったが、タネ銭があればなんらかの施策が打てる。無駄遣いをすることなく、効果ある策を打っていってほしい。ばんえいは筆者をはじめマスコミの付き合いも多い主催者なので、お互い知恵を出していければと思う。
ばんえいは、帯広単場化も後も廃止の危機に晒されてきた。2010年は当時革新系だった現市長がばんえい存続を掲げていた一方、保守系の対立候補が廃止を主張するという「逆転現象」も起きていた。当時の票数差は、なんと僅か138票。70人が逆の意思を示していたら、この世からばんえい競馬は無くなっていた。ほんの5年前のことである。
いまでは、帯広市民もその多くが「ばんえい競馬があってよかった」と思ってくれることだろう。願わくばその状況が、末永く続いてほしいものである。また、荒尾や福山の廃止をよそに存続してきた他の競馬場も、ただ「IPAT景気」に浮かれるのではなく、永続的な仕組みづくりに励んでほしい。
◆須田鷹雄【野次ウマ競馬】
http://bit.ly/1QQoLrX
◇競馬通信社◇
http://ktsn.jp