◆沢田準【競馬を楽しく】
http://bit.ly/1BFqU5c
以前にドバイのレース実況画像が見にくいことに触れた。
2コーナーを回ったあとの向こう正面では、内埒沿いを並走する車の車載カメラで馬群の斜め前方からの画像であり、後方の馬は先行馬に隠れて識別がむつかしいのである。
ドバイに限らず外国のレースの画像はどんなものかと思わせるものが多い。空撮の映像を見たことがあるが空撮は競馬には全く向かない。馬の姿が小さすぎてほとんど判別ができないのである。
またかつては騎手のヘルメットに設置したと思われるカメラからの映像がレース実況中に使われたことがある。モーターレースの車載カメラをまねたのだろうが馬の耳が跳ねるだけの笑ってしまうようなもので、さすがにすぐにやめてしまった。
凱旋門賞ではスタート後しばらくは外埒の外を走る車からの車載映像になるが、埒から車までの距離が大きいため馬の姿が小さく、またカメラとコースの間に置かれているゲートなどが邪魔に見える。
イギリスやアイルランドは競馬場のサイズが大きいためか並走する車載カメラの画像が多く、見やすいとは言えない。
アメリカはほとんどの競馬場ではスタンドから撮影している。日本と同様であり、向こう流しでは上下分割画面で、馬群全体とアップと日本と同じ工夫をしている競馬場もある。
ところがアップの画面では日本とは異なり、カメラをパーンせずに馬群の先頭部分だけを撮っているのである。
このため他馬を話して逃げた馬がいると、その馬一頭だけを終始撮ることになってしまい、どうにも間の抜けた画像になってしまう。先頭から後方へパーンするという知恵がないのがおかしい。
ここまでを考えると日本のエース画像が断然すぐれていることがわかる。しかしそれは最終コーナー手前までの話なのだ。その後は残念ながら日本というよりJRAの実況画像は一気に見づらいものになってしまうのである。
道中の撮り方はそれぞれ異なるが、最終コーナーの手前からの画像は各国共通だ。スタンドなど高い位置のカメラが馬群全体とらえる。
そのまま馬群全体をゴールまで写してくれるから、最終コーナーでどこを回ったか、うまく馬群を捌いたか、前が塞がる不利があったか、逃げ馬、差し馬、追込馬それぞれよくわかる画像となっている。
直線コースではゴール前3ハロンくらいからは馬群全体をとらえた画像であり、さすがにゴール前は先頭グループの馬だけになることもあるが、これは問題ないだろう。
これに対して皐月賞で分かる通りJRAの画像では、最終コーナーでは高さの低い位置のカメラで馬群を切り取ったものになる。
この画像ではコーナーのどこを回ったかが非常にわかりにくい。最終コーナーでの位置取りはレースを左右することもある重要なポイントなのであり、それがわからない画像は問題である。
しかも直線に入るとしばらくは馬群全体をとらえているが、途中から先行馬のアップになり後方へパーンする。このためここでも画像内の馬群が切れてしまう。
つまり直線の画像には連続性がないのだ。このことは特定の一頭に注目してみているとよくわかる。逃げ馬でも差し馬でも一時画面から消えてしまうのである。これは民放の中継画像でも同じ傾向にある。
このような最終コーナー手前からの外国と日本の中継画像の違いの理由はなぜだろうか。おそらく外国では途中はともかく最後だけはちゃんと撮るという考え方なのではないか。最良のレース画像とは道中は日本式、最後は外国式のように思える。
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